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2007.10/11(Thu)

そのすきまにあるなにか・9・ 

 ――ぢゃ、あした10時駅前で待ち合わせだねっ☆

 けっきょくアイツと駅前のファーストフードでたあいなくお話したり。
 でも。
 あしたのデエトの作戦は準備万端、
 きっちり1日、アイツのことキープなのです♪

 なにか夕方から約束があるからというので、
 カヨコは素直にそのまま帰ってきた。

 ――さ~ぁ、あしたは張りきって料理するんだからっ☆

 でも。
 なんとなく気にかかるのは、あの、駅で見た女の仔。
 どこかで見たような、会ったような気がするんだなあ。
 だれなんだろ、あの仔わ~?
 なんだか仲よさそうだったよなあ?
 アイツのあんなふうな自然な、笑顔なんて、さいきん見てない気がする。
 うん、ほんとそんなに自然で、はじけるような。


 ~ ・ ~


 気がつくと、もうすでに夜が降りてきている。

 ゆったりとした気分でていねいにコーヒーを淹れる。
 自分のためだけに、その1杯のためだけに、心をこめて。
 今日は「クリスタルマウンテン」
 ブルマンを思わせるような、それでも軽やかな香りとかすかな渋み。
 カヨコはどちらかというと香り立つコーヒーが好み。
 苦いコーヒーはにがてだ。
 香りを楽しみつつ、酸味のきりり利いたのがおいしい。
 だから、シアトル系なコク深いコーヒーとかよりも、
 自分の部屋で淹れる1杯だけのドリップコーヒーのほうがおいしいと思う。
 淹れるときの、その濃ゆい香りで心の底からリラックスできる。
 
 コーヒーを手元に、
 パソにむかいつつ、ついついことばあそびしてしまう。

 ――あなたのすがた
   そのまま
   れこおど

 ――あなたのことば
   そのまま
   れこおど

 ――でも。

 ――あなたのきもち
   でこおど
   できない

 あたしのこと、ほんとわどんな風に思ってるんだろう?
 あたしのほかに、親しい仔がたくさんいるんだろうか?
 あなたはあたしのことを、えらんでくれるのだろうか?

 なんとわなく、どこからともなくわきあがる、
 不安?
 あの女の仔の屈託のない笑顔と、
 アイツのあの、はじけた笑顔と。

 「ピンポ~ン♪」

 あれ、こんな夜遅く、宅配便かなあ?
 ふいに来客を知らせるチャイムが鳴る。

 ――え?

 ドア越しのスコープから覗き込むと、ミサキがぼんやり立っている。
 あれ、ショッピングに行こうとして、あたしだけ駅に戻してもらって。。?

 あわててドアを開ける。
 あれ、なんだかいつものミサキぢゃないみたい。
 毒が抜けたような、
 気が抜けたような。

 ――あらあら、こんばんわ~?

 なんだか見当はずれな挨拶がこんなとき、口をついてでてくるww

 ――とりあえず入りなよ~?

 「――ぅん」

 それっきりソファにこぢんまり座ったまま、
 ミサキの目はどこか遠い空をみている。

 ――コーヒー淹れるよ?

 「――ぅん」


 ~ ・ ~


 ――ミサ、なんかあった?

 「あのね、ただね、あたしわさ、
  カヨコのこともっと大事にしてもらいたくて、
  ただそれだけ云いたかったんだけどねっ
  いつもカヨコのことみててはがゆくて、
  はがゆくてさ、なんとかしなきゃ、て思って、
  ほんと、それだけなの、それだけのつもりだったの。
  でもね、ごめんなさい、
  ほんとに、ほんとにそんなつもりぢゃなかったのっ。」

 急に早口になったミサキからあふれる怒涛のごとき言葉を、
 あたしはまったく理解できない。え?あたしのことなの?

 ――ミサ、云ってることが分からないんだけど?
   ゆっくりでいいから話してくれる?
   相談になら乗れると思うよ?

 気が付くとミサキは目に涙をいっぱいに溜めて、
 あたしのこと、まっすぐ見てる。
 あたしはミサキの目をまっすぐに見ている。
 ミサキの目はこんなにも深い色をたたえていたのかと、
 ぼんやり考えている。

 「ごめん、アイツと会ってきたんだ――」

 そんな言葉でも、カヨコはなぜか理解できない。
 アイツと。。。会ってきた。。。??

 カヨコはミサキの目のなかに、ミサキを見つめている自分を見ていた。
 驚いたような、何か理解しかねているような自分をただただ見ていた。

 え。。。どうゆうことなの。。。??
 そのままあたしは自分がどこかに飛んでいってしまいそうで、
 ミサキの両肩をつかまえてるしかなかった。
 このままどこかに消えてしまわないように。
 ミサキにつかまっているのが精一杯だった。


 ~ ・ ~


 (だいぢょぶだよ、ミサ、あたしのことは、だいぢょうぶ)

 (ミサはさ、いつも元気でいたほうがミサらしいんだから)


 ~ ・ ~


 なにか息苦しくなって目が覚めた。
 ちいさなソファにミサと二人眠り込んでしまったらしい。

 ――ん~なんだっけ?

 身体に残る不思議な感触がよみがえってくる。
 何かに
 吸い込まれてしまうような不思議な感覚。
 ミサの充実感のあるその身体つきだとか。
 甘い香りだとか。やあらかな感触だとか。
 全身で感じる不思議があたたかさだとか。
 そのくちびるにふれるやわらかさだとか。
 そして。。どこまでも甘美な感覚だとか。

 なんてあいくるしいんだろう、
 どこまでも果てなくもとめてくるミサのこと、
 ただ受け入れてあげるしかなかった、
 受け入れてあげないではいられなかった。
 守ってあげなくてはいけない、と初めて思った。


 ~ ・ ~


 ソファからそっと抜け出し、
 カヨコはシャワーブースに入っていった。

 熱いお湯を身体いっぱいに浴びて、
 頭のてっぺんからすみずみまで。

 なぜか大量の涙があふれてきた。
 なんでこんなに涙が出るのだろう?
 何でこんなに悲しい気持ちになるのだろう?

 涙なんかこの熱いシャワーで流してしまえばいい。
 そうすればすぐにきっとすっきりするから。
 そう思うか思わないかのうち、
 シャワーブースの中でカヨコは大声をあげて泣いていた。

 盛大なシャワーの音と水の流れは、
 しばらくのあいだ続いていた。
 カヨコの泣き声をかき消すように。
 カヨコの気持ちを洗い流すように。

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テーマ : ( -_-)旦~ フゥ - ジャンル : 日記

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